1.豆腐にまつわる雑学特集
豆腐1丁には何粒の大豆が入っている
豆腐の数え方は「丁」なのは誰でも知っていることです。しかし、大きさについての定義はないので、その大きさは地域や店によってまちまちです。
かつては豆腐1丁は400g程度が普通だったのに、現在では100g~500gと幅広くなっていて、その中でも300~350gが一般的になっていて、少量化の傾向にあります。こうした大きさの変化は、世帯員数の減少が理由のひとつにあげられています。一般的には、核家族の多いとされている都市部では比較的小さい豆腐が並んでいます。ちなみに沖縄では1kgのもの(しま豆腐)を切って売っているところもあります。
この豆腐1丁にはどのくらいの大豆が必要とされているのでしょうか。豆腐業界では、「1丁360粒」といわれています。もちろん、それは大きさに応じて多少の差異は生じてきますが、このくらいの数字ではないかといわれています。しかし、水を加えたり、こしたりする工程を考えると、実際の大豆の数はもっと少なくなるような気がします。
豆腐という文字の由来
日本人からすると、豆腐と納豆は単語の意昧と実物が逆のように感じるかもしれません。
中国ではヨーグルトのことを「乳腐」と表すことがらも分かるように、中国で「腐」という文字は「くさる」という意昧ではなくて、固まるまたはやわらかい固体を意昧する言葉です。
従って豆腐も「豆を固めたもの」といった意昧になるのが正確です。中国の豆腐は日本の豆腐と異なり、水分がなく固めで、塩気も強いです。そのため豆腐をそのまま食べることは少なくて、油で炒めたり、煮たりする料理に使われています。
凝固剤
豆乳から豆腐を作る「凝固」の工程のための添加物で、豆腐製造には不可欠なものです。豆腐の凝固剤として食品衛生法で指定されているものは、次の凝固剤があります。
①硫酸カルシウム
②ニガリ(塩化マグネシム)
③グルコノデルタラクトン
④塩化カルシウム
⑤硫酸マグネシウム。
このうち、主に使われているものは、①、②、③、④です。凝固剤にはそれぞれ特質があり、豆腐の種類に応じた使用がなされており、豆腐製造者がこれらをミックスしたり、ミックスされた製品をそれぞれ工夫して使用しています。
ニガリ
豆腐はむかしからニガリで作られてきましたが、戦時中に軍需物資(ジュラルミンの原料など)として調達されたことを契機として、その使用は大きく減少してきました。しかし、最近では自然志向やグルメ志向もあり、使用が逆に増えつつあります。ニガリは、海水から塩(塩化ナトリウム)をとった残りのものから得られますが、主成分は塩化マグネシウムです。
また、海水から塩化ナトリウムと塩化カリウムを分離した粗製のものもニガリとして付記表示が認められています。
ニガリは、水に溶けやすく、豆乳の凝固反応が速いので、工程において技術が必要とされていますが、大豆の甘昧などを引き出す効果もあります。
「本ニガリ」とは何か
本来、豆腐は天然塩を作る際に出るニガリ(苦汁)を用いて固めていた。天然塩自体が希有な存在になった現在は、主成分である塩化マグネシウムをもって「本ニガリ」とする。
近年は、より扱いが簡便なすまし粉を使うのが主流。これは硫酸カルシウムが主成分で、とくに絹ごし豆腐を作るのに適している。
なお、大量生産の豆腐には保水性がきわめてよく、豆乳がうすくても容易に固まる、通称「グルコン」と呼ばれる凝固剤を使用する例が多い。
2.豆腐売りのラッパはいつからはじまった?
夕方になると決まって聞こえてきたあの「プ~プ~」というどこか郷愁を誘うラッパの音。自転車にまたがり、豆腐を売りにきた豆腐屋の吹くラッパの音は、いまではほとんど聞くことがなくなりました。
というのも、あの特殊な楽器を作る職人がいなくなってしまったからみたいです。
普通のラッパは吹くときしか音が出ませんが、豆腐のラッパは作りが特別で、吹くときはもちろん、息を吸うときにも音が出るようになっています。それで、あの抑揚のある音が生まれるのです。「普通のラッパでは出せない音」となれば、当然手に入らない場合は、カセットテープを流すなどして代用しなくてはいけません。
ラッパを吹きながら豆腐を売るというスタイルは、明治の末期から大正の初めにかけて生まれたものが、何のために誰がはじめたものであったのかは、いまだに不明なままです。
ただし、明治時代には「トテ馬車」と呼ばれる乗合馬車があり、この御者が、同じラッパを吹いて通行人に馬車が通ることを知らせていたといわれています。トテ馬車の「トテ」という言葉は、「トテトー」と鳴るラッパの音からとったものです。
汽車が走るようになって間もなく、街中からは乗り合い馬車が消え、代りに豆腐屋がそのラッパの音を利用して客を呼ぶようになったのではないかともいわれています。