目次

1.豆腐の種類

一口に豆腐といっても、四角い生ものばかりが豆腐ではありません。豆腐は焼いたり揚げたり凍らせたりさまざまに手が加えられバラエティに富んだ豆腐の仲間として、食卓に姿を見せてくれます。 豆腐は大きく分けると木綿豆腐と絹ごし豆腐に分かれて、製法のちがいによっていろいろなものがあります。豆腐を加工した食品や豆腐製造の過程で、できる製品を併せて紹介します。

木綿豆腐 木綿ごしともいいます。大豆の風味が生かされたむかしからの豆腐です。肌がやや粗く、布目や型箱の穴のあとがあり、大豆の色を残しています。

絹ごし豆腐 やわらかく、絹のように滑らかな肌と、とろけるような食感の豆腐です。 白すぎず、ほどよい弾力があるものがいいです。

寄せ豆腐 別名、おぼろ豆腐。木錦豆腐の工程の中で、型に入れる前の寄せた状態のものを器に盛った豆腐です。やわらかくて口の中でとろけます。

ざる豆腐 「寄せた状態」のものをざるに盛ったもの。ざるから自然に「ゆ」(水分)が出ます。木綿豆腐とはひと味ちがったコクが楽しめます。

焼き豆腐 固めに作った木綿豆腐の表面に焼き目をつけたものです。形がくずれにくく、味がしみやすいため、すき焼きなどの鍋物や煮物に向いています。

生揚げ豆腐 木綿豆腐の水気をよく切り、高温の油できつね色になるまで揚げたものです。厚揚げ豆腐ともいい、煮物、おでんなどに広く使われています。

油揚げ 豆腐を固く弾力性があるように作り、薄く切って低い温度でゆっくり揚げたものです。みそ汁の具、煮物、いなり寿司など広く用いられています。

がんもどき 関西ではひりょうずと呼びます。豆腐の水気を抜いてつぶし、やまいもとすり合わせ、細かく刻んだ野菜などを混ぜて丸めて揚げます。

ゆば 豆腐製品の仲間です。豆乳を加熱して表面の膜を竹串で引き上げたものが生ゆばと呼ばれています。一般には乾燥したものが市販されています。保存食に最適です。

おから 豆腐製品の仲間で豆乳のしぼりかすです。食物繊維が多く、うの花汁やうの花和えなどの料理に用いられます。きめが細かいほど上質とされています。

焼き豆腐
すき焼きに欠かせないこの豆腐は、もめん豆腐の表面をあぶって焼いたもの。焼くことで豆腐が崩れにくくなりますから、鍋などの煮物に使うと便利です。

生揚げ(厚揚げ)
もめん豆腐の水気をよく切り、高温の油で揚げて作ります。これも形が崩れないので、焼いたり炒めたり煮たり、さまざまな料理に利用できます。

油揚げ
豆腐を薄く切り、それを低い温度でゆっくり揚げたもの。油揚げ用の豆腐は、固く弾力性のあるものがそれ専用に作られています。厚揚げにたいして、「薄揚げ」とも呼ばれます。

がんもどき
豆腐を一度崩してすり鉢ですり、そこにやま芋などのつなぎを入れ、具にごぼうの笹がきやにんじん、麻の実などを加えて、油で揚げます。豆腐の加工品というより、むしろ豆腐料理に近いでしょう。関西地方、とくに京都では、がんもどきを「ひりょうず(飛龍頭、飛龍子」と呼んでいます。

凍り豆腐(高野豆腐)
豆腐を凍らせてスポンジ状の組織にし、その後、解凍乾燥させた保存食です。鎌倉時代に高野山の僧が真冬の外気の温度で凍らせたのが最初とされています。しかし同時に信州や東北地方でも、寒い土地柄を生かして作られていたようです。現在では、ほとんど人工的に凍結させて製造されていますが、東北地方には、戸外につるして凍結と日光乾燥を交互に繰り返す、東北独特の昔ながらの製法で作られているものもあります。


2.木綿豆腐と絹ごし豆腐は固め方が異なる
豆腐には木綿豆腐と絹ごし豆腐、充填豆腐の3種類があり、製法がそれぞれ異なっています。 木綿豆腐はまず豆乳に凝固剤を加えて豆乳を固めます。それを一度くずしてから、布を敷いた穴あきの型箱に移し、圧力をかけて余分な「ゆ」(水分)をとったものです。

一方、絹ごし豆腐は穴のない型に豆乳と凝固剤を入れ、「ゆ」をとり除かずにそのまま固めます。「ゆ」が多いため、やわらかく仕上がり、布目のあともできません。

充填豆腐は戦後機械化の進展にともない生まれた豆腐で、大量生産に適しているパック詰めの豆腐です。絹ごし豆腐と同様の滑らかさがあります。製法は豆乳を一度冷やしてから凝固剤と一緒に容器に入れ、密封してから加熱して固めるもので、日持ちがいいのが特徴です。

ニガリで絹ごしを手作りするのは難しい。おいしくなめらかに固めるには濃い豆乳が必要だが、粘りが出て攪拌が難しく、ムラが出やすい。戦後、絹ごしが普及したのはニガリに代わる凝固剤の登場による。 今は新しい機械製法でニガリの絹ごしも簡単に。ニガリが高い温度で固まる性質を逆利用、豆乳を冷やししてからニガリを合わせ、後に加熱する方法だが、昔の手法で絹ごしを作るのは、なお名人技の世界である。


3.豆腐の加工品と仲間
豆腐はいろいろな形に加工されています。 中でも油揚げ、がんもどきは豆腐のタンパク質を利用したものです。豆腐のタンパク質は90℃以上の熱を加えるとやわらかくなり、新たに凝固が起こって、一度くずれた豆腐が再び固まります。また100℃以上の熱を加えると気泡ができたりします。

たとえば油揚げは豆腐を最初に低温で揚げ、次に高温で揚げるため、豆腐が加熱によって変化して海綿状になり、もとの3倍くらいにふくらみます。いなり寿司用に、三角形に作ったものもあります。 豆腐製品の仲間であるゆばは、豆腐と同じく中国から伝来したもので、中国では豆腐皮(ドウフウピー)といいます。やわらかな風味と色合いをもっていて、さまざまな素材とよくなじむところから、日本料理では広く用いられている素材です。

味は淡白ですが、干しゆばには大豆のタンパク質が53%、脂肪が28%含まれ、栄養のエキスが詰まったすぐれた食品です。消化率も豆腐に匹敵します。また、ゆばは大豆油を多量に含んでいるにもかかわらず、保存性もよく、乾燥状態で缶などに入れておけば、数力月たっても油の酸化による風味や色沢の劣化がないのも特徴です。

がんもどきは十分に水切りした豆腐を一度くずしてすり鉢ですりつぶし、豆腐の1割程度のやまいもをすってつなぎに入れます。さらに、刻んだごぼうやにんじんなどの野菜を混ぜ、円形に丸めて油で揚げたものです。油揚げほど大きくふくらませませんが、最初に低温、次に高温の油で2度揚げを行います。内部はやや多孔質になるほうが食感がいいです。

形は大小さまざまあり、ぎんなんや、くわい、海老など、中に入れる材料によって、いろいろな味が楽しめます。家庭でもおかずとして作りますが、市販品もさまざまなものが出まわっています。

脂質の多い揚げ物
豆腐の仲間たちは、さまざまな手が加えられているだけに、栄養的にも豆腐とはかなり異なってきます。

表面を焼いただけの焼き豆腐は、もめん豆腐とほとんど栄養的な差はありませんが、生揚げ、がんもどき、油揚げの3種は、揚げ物だけに、脂質が多くなるのはもちろんです。

この中で油揚げは、薄い豆腐を揚げたものだけに、脂質の割合がもっとも高く、33%にもおよびます。当然カロリーも高く、もめん豆腐が100gで77kcalなのにたいし、388kcalもあります。水分がもっとも少なく44%しかありませんからその分、脂質だけでなくたんぱく質や糖質など、ほかの栄養素の割合も、生揚げやがんもどきより高いのです。

ビタミンEも、もめん豆腐が100g中0.4mgにたいし、油揚げは2.1mgもあります。がんもどきにも、同じくらい含まれています。ただミネラルのひとつであるカリウムだけは、3種の中でもっとも低くなっています。反対にカリウムが多いのは、生揚げです。


栄養価の高い凍り豆腐
豆腐の仲間で少し特殊なのが、凍り豆腐でしょう。乾燥させたものだけに、ほかの豆腐類と違って水分は8%程度しかありません。ですから、凍り豆腐は、たんぱく質50.2%、脂質33.4%と、それだけで80%以上を占めるという、たいへん栄養価の高いものなのです。

またカルシウムの含有量が100g中に590mgと、豆腐類でもダントツの豊富さを誇っています。成人1人当たり1日に必要なカルシウムは、600~700mgですから、凍り豆腐100gで、1日の必要量がほとんどとれる計算になります。 凍り豆腐は、栄養価が高いだけでなく、たいへん消化もよく、保存食だけに貯蔵もできるなど、ひじょうにすぐれた食品です。

問題点は、脂肪が多くこれが酸化分解されやすいため、香りや味を低下させることがあることでしょう。長い間貯蔵する時には、高温多湿の場所は避ける必要があります。

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