目次

1.大豆サポニンは成人病予防、老化防止の味方

大豆サポニンが、血液中のコレステロール値を低下させ、動脈硬化を防ぐことは、かなり前からいわれてきました。動物にサポニンを大量にあたえると、コレステロール値が低くなるという報告もあります。 理由としては、次のようなことが考えられています。

サポニンは、化学的にいうと「配糖体」と呼ばれ、糖を含む物質です。この糖は消化されず水分を吸収するタイプ、つまり食物繊維の仲間なのです。この糖が、脂肪を分解する役目がある胆汁酸(胆のうから分泌される胆汁の主成分)を吸収してしまい、その結果、脂肪分は分解されにくくなります。動物性脂肪には多くのコレステロールが含まれていますが、体内で分解されないのですから、コレステロールも吸収されないというわけです。

また、サポニンは水にも油にも溶ける性質があるため、石けんのように、血管に付着した脂肪(コレステロール)を洗い流し、血管をきれいにするともいわれます。これも、動脈硬化を防ぐ効果につながります。

動脈硬化は、ご存じのように、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの怖い成人病の原因になります。ですから、大豆サポニンはこれらの病気から体を守ってくれる強い味方ともいえます。


2.がんやエイズ抑制に期待される大豆サポニン
サポニンは、「配糖体」と呼ばれる、脂肪と糖が合体したような物質で、大豆の維管束(植物にある水や栄養分の通路)のまわりに多く存在しています。生体防御の働きに関係しているのだろうと推測されていますが、はっきりした役割についてはまだよくわかっていません。

サポニンの「サポ」とは「泡」という意味で、発泡する性質があります。大豆を洗うと水に泡がでてくるのもサポニンが水に溶けだしたことで起こるのです。 もともとこのサポニンは有害な物質だとされていました。赤血球を壊す作用があることや、甲状腺(のどの気管の両側にある内分泌腺) の異常を引き起こすことが問題になっていたからです。

というと大豆食品を食べるのが心配になってきますが、生の大豆を大量に食べないかぎり、問題はありません。熱で分解されてしまいます。私たちは普通、サポニンは水に溶ける物質ですし、大豆を生のまま食べませんし、多くの大豆加工品は、煮たり高温加熱が行われているので、毒性を心配するほどサポニンを大量にとりすぎることはないわけです。むしろ、少量とれば毒より薬になると注目されてきたのです。

有害物質だったサポニンの認識が変わったのは、サポニンの成分が詳しく分析され、それらの成分が血液中のコレステロールを減らしたり、脂肪が酸化するのを防ぐ作用のあることがわかってきたからです。

サポニンにがんの抑制効果があることや、エイズ・ウイルスの増殖を抑えるさらに最近では、血栓を作りにくくする、作用のあることがわかってきました。そのほかにも、肥満防止効果など、成人病予防や老化防止に役立つ作用が報告されています。かつては嫌われ者だった大豆サポニンいまや熱い視線で迎えられる存在なのです。



3.便秘予防や脂肪の酸化防止にも効果がある
女性には便秘症が多いものですが、便通が悪いと、本来は便と一緒に体外に排出されるはずの、発がん物質など害になるものが、長く体内にとどまることになります。それが原因でさまざまな病気を引き起こすこともあります。

サポニンは便通をよくし、その点、腸をきれいにして、大腸がんをはじめとするがんの抑制や各種の病気を予防することができるといわれます。

サボニンが便通をよくするといわれるのは、ひとつには組成の一部にある食物繊維のような性質によるためかもしれません。サポニンの泡立つ性質が関係しているとのことです。 サポニンは、水分の中に入ると泡を立てるため、泡の立つお風呂に入ると血行がよくなるのと同じで、サポニンの泡が腸や腸の壁を刺激し、血行を促進します。そのために、腸の活動が活発化し、便通がよくなるというわけです。

サポニンにはこのような腸の調整効果のほかにも、健康に役立つさまざまな効果があるといわれています。 大豆などに含まれるリノール酸は、体によい脂肪酸ですが、酸化されやすいのが欠点です。脂肪酸の酸化物は体に大きな害をおよぼし、老化のもとにもなるといわれています。しかし、サポニンにこの酸化物ができるのを防ぐ効果があるという報告があります。

そのほか、軽い肝臓障害が起こるのを防ぐ、血栓ができるのを防ぐなど、成人病に関連するような多くの効果が認められ始めています。 またサポニンは、粘膜の保護をする成分ともいわれのどのトローチ薬などにはのどの粘膜 を整えるために、サポニンが配合されているものもあります。

4.大豆サポニンは肥満防止薬にもなる
サポニンは、今後、肥満防止にも一役買うことができるかもしれません。肥満は美容上の問題だけでなく、高血圧、糖尿病、動脈硬化の大きな原因になっていますから、肥満解消は、成人病予防の重要なポイントになっています。

大豆サポニンのうち、Bグループといわれるものには、血液中の中性脂肪を減らす作用があります。これが肥満の抑制にも役立つとして期待されているのです。 もうひとつ、サポニンに肥満防止効果の可能性があるとされるのは、大豆独特のえぐみの原因が、じつはサポニンにあるとわかってきたことによります。大豆食品はたいへんおいしいのですが、大量に食べると、舌にいやな味が残るようになるため、そうはたくさん食べられません。

その原因はサポニンのうちでもAグループと呼ばれるものが、舌にある、ある種の苦みを感知する細胞を刺激することがわかりました。 このAグループのサポニンは、おもに大豆の胚軸に含まれていることもわかっており、最近ではこの胚軸を取りのぞいて作った、えぐみのまったくない豆腐がすでに市販されてい ます。

こうしたサポニンの性質を反対に利用すると、食べすぎの抑制が可能です。えぐみ成分の多い胚軸だけを食べれば、えぐみを感じる舌の神経をおおいに刺激してくれ、よけいな食欲を抑えてくれるということになります。丸大豆には、サポニンが約0.5%含まれていますから、これを利用して「やせ薬」として役立たせることもできるというわけです。

ちなみに、サポニンには溶血作用という、血液が作られないようにしてしまう働きがあるともいわれていますが、大豆サポニンにはまったく溶血作用がありません。

大豆食品の中では比較的Aグループのサポニンも残りやすいのは納豆ですが、この場合にはネバネバに被われているため、舌に直接えぐみの刺激が伝わることは少ないのです。いずれにせよ食欲の抑制効果ばかりを食品に期待するのは、やはり無理があるでしょう。

Bグループのサポニンは、ほかの大豆加工食品にも十分残っていますから、大豆は、やはり、食欲を抑える薬というより、健康によい成分をたくさん含んだ、おいしい食品として、有効に利用していただきたいと思います。

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