目次

1.大豆成分の約90%以上を移行した豆腐は健康の源

豆腐の原料である大豆には、良質なタンパク質と脂質が多量に含まれており、栄養価の高い食品です。大豆の品種により異なりますが、タンパク質は約35~45%、脂質は18~26%となっています。

豆腐は大豆のタンパク質を食べやすい形に加工したもので、豆腐用の大豆は、とくにタンパク質が39~42%程度と含有量が高く、油分は18~26%程度の低いものを使っています。この原料大豆に水を加えてつぶし(摩砕)、加熱して裏ごしすると、豆乳とおからに分かれます。この豆乳を凝固させたものが豆腐となるので、大豆のほとんどの成分が移行するのです。

種類や作り方によって若干異なりますが、製造行程における成分の移行は、まず、タンパク質は大豆の磨砕によって水に溶け出し、約80%が豆乳中に抽出され、そのうちの約95%が凝固し豆腐に移行します。脂質は豆乳へ約75%抽出し、凝固させるときに、そのうちの約95%が豆腐に移行するといわれています。

このようにしてほかの成分も移行するので、タンパク質と脂質以外にミネラルやビタミンをはじめ機能性食品としての成分が各種含まれているのです。


2.栄養がほぼ100%吸収される豆腐の驚異の実力
栄養の宝庫ともいうべき大豆ですが、繊維を多く含むため消化がよくなく、せっかくの栄養が消化吸収されにくいという欠点があります。ところが豆腐に加工すると、その消化吸収は98%と極めて高いものになるのです。つまり栄養が100%近くも消化吸収されるのです。

豆腐は大豆の組織を十分に壊し、タンパク質や脂肪などをいったん遊離させたうえで、消化の悪い繊維質、つまりおからを除いてもう一度固めたものなので、消化吸収がいいのです。そのため病人でも高齢者でも、だれでも食べることができ、離乳食にも適しています。

大豆の10倍の水を加えた豆乳で木綿豆腐を作る場合を例にあげると、成分が豆乳に溶け出す率は固形分が66~68%、タンパク質が80%、脂質が73~78%、灰分が72~75%が標準的です。

これらの成分を含んだ豆乳に凝固剤を入れて豆腐を作るわけですが、木綿豆腐の場合、余分な水分(ゆ)をとり除くため、凝固率は、固形分が76~84%、タンパク質が90%、脂質が95%、灰分はリンのように約85%のものもありますが、ほかの多くの無機成分は60%程度です。

絹ごし豆腐の場合は、一般的に大豆の約5倍の水を加えた濃い豆乳を使うため、豆乳に成分が溶け出す率は、木綿豆腐よりやや低くなります。絹ごし豆腐は余分な水分(ゆ)をとり除かず、豆乳を全部固めて作るので、成分はすべて凝固します。

このため、木綿豆腐より糖質が高くなるのです。また、大豆のタンパク質の移行は、一番しぼりのおからに16.8%、豆乳に80.1%、豆腐に76.9%という調査結果があります。

この数値だけでも豆腐にタンパク質が多量に含まれていることが分かります。しかもそのほとんどが消化吸収されるわけですから、豆腐を食べることは、タンパク質そのものを食べていることになるのです。



3.水分を除いて挽算すると約50%が良質タンパク質
豆腐は80%以上が水でできています。ではその水分にどれだけのタンパク質が含まれているのでしょうか。

豆腐を透過型電子顕微鏡で観察すると、細かな網の目状になっています。 これがタンパク質なのです。このタンパク質の粒子が互いに結びついて海綿のように網を張りめぐらしているのです。網の目のところどころには細かい脂肪球(油滴)が散在しています。これが脂肪です。では水はどこにいったかというと、網の中はすべて水なのです。

大豆に含まれるタンパク質は水に溶けやすく、加熱しても固まりにくいのですが、凝固剤を加えると水分を含んだままでもしっかりした形に固まります。大豆タンパク質はこのような特性を持っているのです。

豆腐の中のタンパク質は6%程度ですが、水分を除いて換算すると、約50%がタンパク質になります。木綿豆腐1丁は約300gで、そこに含まれるタンパク質の量は20.4gです。 タンパク質の1日の栄養所要量は、成人男子では70g、女子で60gとされています。つまり1丁食べればタンパク質の3分の1の量が満たされることになるのです。

私たちのからだは髪の毛から爪の先までタンパク質で成り立っています。 タンパク質は皮膚、内臓、筋肉、骨、血液などの細胞や組織を作っているほか、酵素や血液、ホルモンなどの材料にもなっています。また、からだの中で毎日使われるものなので、食べ物で毎日補っていく必要がある栄養素でもあります。

豆腐は、タンパク質含有量が多いうえに、栄養価が高く良質であるため、毎日食べてもいい食品です。汁ものにしたり、煮たり、炒めたり、揚げたりなど、さまざまな調理法でよりおいしく豆腐を食べる工夫をしたいところです。

豆腐製品に含まれる100gあたりのたんぱく質
木綿 6.8g
絹ごし 5g
焼き豆腐 7.8g
生揚げ 10.7g
油揚げ 18.6g
がんもどき 15.3g
おから 4.8g




このページを見た人は、こんなページも一緒に読まれています!

Copyright © 2017 豆腐と納豆を徹底比較!全国の豆腐店を訪問した結果 All rights Reserved.