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1.長寿の秘密は豆腐料理にあった

毎年、日本の県別平均寿命のトップを誇っているのが、沖縄県です。日本自体が世界一の長寿国ですから、沖縄は世界一長寿の地といってもいいでしょう。そのため、沖縄の食生活と健康との関係を研究した報告がたくさんあります。それを総合すると、沖縄に長生きの人が多いのは、食生活に海藻類と豆類をじつにたくさん取り入れているためだといえるようです。

沖縄の40歳以上の人たちを対象にした調査によると、家庭でもっとも多く作られるおかずは「チャンプルー」という伝統食でした。チャンプルーとは、豆腐を基本とした炒め料理のことで、具は野菜でも肉でも何でもよいのですが、よく用いられるのは、ニガウリ、ねぎ、もやし、へちま、豚肉、卵などです。沖縄の中高年の人はこのチャンプルーを1日に1、2回は食べているといいます。

チャンプルーに使われる豆腐は、俗に沖縄豆腐といわれ、普通のもめん豆腐やきぬごし豆腐とは少し違います。もめん豆腐より相当硬く、しかも1丁が1キロくらいあるひじょうに大きなものなのです。昔の豆腐売りは、これを頭の上にのせて売り歩いたといいます。

また、富山県の五箇山の豆腐も、沖縄同様わらで縛って運べるくらい硬くて大きいことが知られており、やはり五箇山の人たちも長寿なのです。硬い豆腐は、水分が少ないために硬くなるので、その分栄養素はかなり濃縮されます。普通の豆腐よりさらに、良質のたんぱく質とビタミン、ミネラルの豊富な豆腐を毎日常食していることが、長寿の秘訣のひとつなのでしょう。


2.沖縄独特の豆腐料理
沖縄独特の発酵食品「豆腐よう」、人気の「ゆし豆腐」
中国には、「乳腐」という豆腐にカビを生えさせて発酵させた食品があります。これと似た沖縄の豆腐発酵食品が、酒の肴に欠かせない珍味「豆腐よう」です。沖縄みやげに瓶詰などにされているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

乳腐は『豆腐百珍』にも紹介されているので、日本のほかの地にも伝わってはいたはずなのですが、なぜか定着せず、たぶん中国から直接伝来したらしい沖縄にだけ、伝統食として残ったようです。

沖縄の豆腐ようは、泡盛を使って防腐効果を高めることで減塩化するなど、においや塩味がきつい乳腐を、食べやすく改良しています。 また、沖縄の人に人気のある豆腐に、「ゆし豆腐」もあります。豆腐として固める前の、 いわゆる寄せ豆腐のことで、沖縄の人は朝早く起きて豆腐屋に行き、固めてしまう前に買っていく人が多いといいます。だし汁をかけて食べるのが一般的です。ゆし豆腐は、薬味やしょうゆ、だし汁をかけて食べるのが一般的です。

大豆の栄養をぎっしりつめ込んだ加工品の主役「島豆腐」
沖縄の人が上手にたんぱく質をとって、コレステロールを中庸の値に保っている背景には、豚ばかりでなく、大豆の役割も見逃せません。沖縄独特の「島豆腐」が、その主役でしょう。これは栄養的にとりわけすばらしいもので、豆腐の消費量日本一(全国平均消費量の約1.5倍)の原動力となっています。

「島豆腐」は内地のふつうの豆腐にくらべると、かなりようすが違っています。日本標準食品成分表でも、絹ごし、木綿とは区別され、「沖縄豆腐」として別途扱われています。まず、大きさが遣います。島豆腐の1丁は1キロ前後、ふだん私たちが目にする絹ごし豆腐や木綿豆腐が1丁300g前後ですから、約3倍です。さわった感じはだいぶ硬めで、この硬さのためくずれにくく、炒め物、煮物、揚げ物など、いろいろな調理法にも使いやすくなっています。

これは、水分が少ないためで、島豆腐の水分は81.8%、ふつうの木綿豆腐が86.8%ですから、約5%ほど少なくなっています。エネルギー量は、100gあたりの木綿豆腐で72kcalですが、同量の島豆腐は106kcalで、約1.4倍。たんぱく質は、木綿豆腐が6.6gであるのに対して、島豆腐は9.1gと1.3倍も多く含んでいます。カルシウムは同量で、リン、鉄、ナトリウム、カリウムなどのミネラルやビタミンB1およびB2も島豆腐のほうが豊富です。島豆腐は、大豆の栄養が凝縮された食品といえそうです。

豆腐の売られているようすもまた、違っています。水にさらされたり、しっかり冷やしてパック詰めされたり、というのではなく、沖縄では、つくられてすぐ、ほかほかの温かいままビニール袋に入れられてスーパーなどに並んでいます。できたてのあつあつといって、温かいほうが新鮮だとして好まれるのです。

海水からとられた天然ニガリで固めるので、マグネシウムを豊富に含み、そのまま食べても、大豆の濃厚な味わいとほんのりとした塩味が楽しめます。 食べかたもさまざまで、スクガラスというアイゴの稚魚の塩辛をのせていただく、いわゆる冷奴のようなスクガラス豆腐や、豆腐をゴーヤ(ニガウリ)などの野菜といっしょに炒めチャンプルーなどが、食卓を彩ります。

そのほか、豆腐の関連食品として、ニガリを入れて固める前のフワフワしたままを食べるゆし豆腐、豆腐を泡盛で発酵させた、チーズ状のねっとりした食感の豆腐よう大豆加工品とはいえませんが、沖縄の豆腐文化の一端を担うものとして、大豆の代わりに落花生を使ってつくったじーまみ(地豆)豆腐などがあります。

豚同様、豆腐も中国から伝わったとされます。貫陽で売られていた豆腐もたしかに水分が少なくて硬め、台の上に積み重ねられて売られていました。この豆腐という素材も、沖縄の人たちは持ち前のチャンプルー精神で、上手に毎日の食卓に生かしているのです。

もしも、年齢とともに肉類などを敬遠しているという人は、豆腐なら、野菜やこんぶといった、大豆たんぱく質の効用をさらに生かせる食材といっしょに、チャンプルー料理として無理なく食べることができます。ですから沖縄では、お年寄りでも良質なたんぱく質を十分にとれているのです。

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