目次

1.目的別おすすめ納豆料理

糸を引かない「寺納豆」は納豆の元祖
納豆は郷土色が豊かな食べ物だけに、細かく分ければ、日本全国には数かぎりなく種類があります。

その中には、糸を引かないつまりネバネバしない納豆もあります。その代表が、京都の「大徳寺納豆」「一休寺納豆」、静岡の「浜納豆」などでしょう。伝統的にお寺でよく作られていた納豆なので、これらをまとめて「寺納豆」と呼ぶこともあります。 寺納豆が糸を引かないのは、納豆菌を使うのではなく、麹菌を使って発酵させているためです。

同じ大豆の発酵食品でも、麹菌を使うみそやしょうゆは糸を引かないことでもわかるように、納豆菌で発酵した場合だけ、あのネバネバが生まれます。

一般に、「糸引き納豆」をたんに「納豆」と呼んでいますが、もとを正せば、寺納豆のほうが納豆の元祖ともいうべきもので、さらに遡ると、中国でかつて調味料として利用していた「鼓(し)」になります。寺納豆は別名「唐納豆」といわれるのも、中国から伝来してきたものだったからです。鼓を日本に伝えたのは、8世紀に唐から日本にきた鑑真和上といわれ、そのために鼓は寺に入って作られるようになり、寺納豆として現在に伝えられています。

寺納豆あるいは唐納豆は、麦粉で大豆の煮豆の水分を吸収させ、塩を入れてから麹菌で発酵させて作られます。水分が少なくコリコリしていて、しかもかなり塩辛いので、ご飯にかけて食べる糸引き納豆と違い、酒の肴やお茶うけとして用いていたようです。唐納豆は「塩辛い」の辛と唐をひっかけた命名だといわれ、「塩納豆」と呼ばれることもあります。

寺納豆は塩を入れるため、赤みそと同じぐらい塩分が強いのですが、水分が糸引き納豆の半分以下のため、栄養分はその分凝縮され、同じ100gであれば、全般的な栄養価は高くなっています。とくに糸引き納豆と違うのは、ナイアシンという、酵母に多く含まれるビタミンの一種が増えていることです。糸引き納豆のナイアシンの含有量は100g当たり1.1mg程度ですが、寺納豆にはその4倍近くも含まれています。

ナイアシンは、胃腸を整え、皮膚を健康にするビタミンです。中国では普から、唐納豆は腹の調子を整えて食欲を増す食品だといわれてきたのも、そのせいかもしれません。

炒り大豆の香ばしさが魅力の「ひき割り納豆」
納豆には、丸のままの大豆を発酵させたもののほか、大豆を炒ってからうすでひき、割ってから発酵させた「ひき割り納豆」があります。

炒る、割るという、通常より余計な手間を加えているのには、わけがあります。ひき割り納豆はとくに東北など寒い土地に多くこうした土地では発酵に適した温度で温めるのが難しかったために、大豆を小さく割ったのです。発酵は大豆の表面から中心に向かって進みますから、割って表面積が大きくなれば、それだけ早く発酵が進みます。

炒ってから割るという手順にも、意味があります。大豆を生のままで割ると、大豆のリポキシナーゼという酵素とリノール酸が結合してn-ヘキサノールといういやな臭いの物質ができます。しかし加熱するとリポキシナーゼは分解されてしまいますから、炒るなどの加熱をしてから割ればいやな臭いはしません。 伝統的なひき割り納豆の製造は、最近では少なくなったといわれますが、炒り大豆の香ばしさを愛するファンもいまだ多いようです。


2.小粒納豆がもてるのはなぜ?
昔は大粒の納豆もかなりあったのですが、近ごろではあまり見かけず、スーパーなどで売られる納豆はほとんどが小粒納豆になっています。これには、食べる側の好みと、製造側の理由がともに関係しているようです。

昔から一般的に、納豆の製造には小粒の大豆がよいとされてきました。大豆も粒の大きさによって多少栄養分に違いがあり、小粒になるほど炭水化物が多く、脂肪分が少なくなります。そのため小粒は吸水性にすぐれていて、豆を煮た時に弾力性がでて、製品がより軟らかに仕上がるのです。

またひき割り納豆の理由と同じで、粒が小さくて表面積が大きくなれば、早く中まで発酵が進むことになります。 小粒のよさは、食べやすさにもあるようです。納豆は普通、ご飯にかけて食べますが、コメの粒と納豆の粒の大きさが違いすぎると、食べにくいといわれます。 最近では、食品の好みがより軟らかいものへと指向していますし、よりコメ粒に近い大ききということで、小粒化が進んできたのだと思われます。

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