目次

1.大豆丸ごとの栄養を効率よくとれる

大豆の加工品としての納豆の特徴のひとつに、大豆を丸ごと食べる数少ない食品であることがあげられます。丸ごと食べることは、すなわち大豆そのものの特徴である、バランスのよいすぐれた栄養が、そのままとれるということです。

たとえば、豆乳や豆腐には大豆の豊富な食物繊維が失われていますが、納豆には食物繊維もたっぷり含まれています。 豆乳や豆腐が食物繊維をわざと取りのぞくのは、大豆の消化吸収をよくさせるためです。 では食物繊維の多い納豆は消化がよくないかというと、そんなことはありません。

発酵食品の納豆は、たんぱく質や脂肪などが納豆菌によってある程度分解されていますから、胃腸での分解作業が少なくてすみ、消化吸収率も高いのです。もちろん豆乳や豆腐のたんぱく質吸収率95%にはかないませんが、納豆も85%ほどと、大豆食品の中ではたいへんすぐれています。

納豆は、大豆の栄養を丸ごと受け継ぎ、しかもそれを効率よく吸収できる、ひじょうに優秀な食品なのです。

しかも、納豆には、添加物がほとんど入っていないことが、健康食品としての大きなメリットでしょう。いまでは工業化されて作られるものが多いとはいえ、基本的には昔ながらの製法ですから、食品添加物があふれる昨今では、数少ない自然食といえるのです。添加物には、発がん性のあるものも多いとよくいわれますし、その点で納豆は安心して食べることができます。

しょうゆと少しの薬味さえあれば、簡単に食べられるのも、多忙な現代生活ではありがたいことです。栄養性、消化性、安全性、簡便性と、三拍子どころか四拍子もそろった食品といえます。

納豆のうまみの正体はグルタミン酸
納豆は大豆を丸ごと使っているのに、大豆にはない納豆独特の香りと味が加わります。これは、発酵のおかげで生まれるうまみが原因なのです。

このうまみの正体は、グルタミン酸というアミノ酸の一種です。納豆菌は、さまざまな酵素を作りだして、大豆のたんぱく質ならアミノ酸に、脂肪なら脂肪酸に分解していきます。納豆の場合、プロテアーゼなどの強力なたんぱく質分解酵素によって、大豆のたんぱく質の50~60%が分解され、20種類のアミノ酸に変化していきます。

分解されてできたアミノ酸のうちでも、もっとも多いのがグルタミン酸で、その量は、納豆100g中0.36gにもなります。グルタミン酸は、うまみ成分の代表的なものです から、グルタミン酸がたっぷり含まれた納豆は、たいへんおいしく食べられるのです。

ところで、納豆を数日間放置しておくと、せっかくの風味が落ちてしまいます。これは納豆菌の分解作用が進みアミノ酸がさらに分解されてアンモニアが大量に発生してしまうからです。よく発酵させてうまみを増ししかもアンモニア臭がする前に食べる、生きた納豆菌の入った納豆はいってみれば生もの。食べごろが大切といえるのかもしれません。

大豆の2倍にハネ上がるビタミンB2
最初に、納豆は大豆の栄養をそのまま受け継いでいるといいましたがじつは原料である大豆よりさらに豊富になるものもあります。それはビタミン類、とくに、ビタミンB2です。原料の大豆より増えるのは不思議に思えますが、これは発酵の途中で新たに合成されるからです。

ビタミンB2は、大豆にも100gに0.3mgとけっこう豊富に含まれていますが、 納豆になると何とその2倍近い0.56mgにもハネ上がります。

ただこれは「食品成分表」に記載された栄養価で、実際に売られている納豆を調べた結果、1.3mgという驚くほどの量が含まれているものがたくさんあったという報告もあります。成人が1日に必要とするビタミンB2は、約1~1.4mgくらいですから、納豆を100g(約1パック)くらい食べれば、必要量が確保できることになります。

ビタミンB2はとくに皮膚や粘膜に大切なもので、不足すると、口内炎や口角炎を起こしたりします。多く含まれているのは、牛や豚のレバーですが、納豆もビタミンB2が豊富な食品のひとつに数えられています。

一般的に植物には含まれていないビタミンB12が含まれているのも、特徴になっています。 ビタミンB12は、レバーや肉類、魚介類、卵などに豊富なもので、欠乏すると悪性貧血になることが知られています。最近では、肝臓病に薬効があるともいわれます。


2.日本人に不足しがちなカルシウムを効率よくとる
家庭内暴力を防ぐには、子どもにカルシウムをたっぷり食べさせるといい、などということが最近よく聞かれます。

家庭内暴力はともかくとして、たしかにカルシウムが欠乏すると、神経が過敏になり、ちょっとしたことでもイライラするといわれます。ストレスの強い現代社会では、カルシウム不足で神経過敏になれば、ますますストレスが過剰になり、どんどん心が荒れていきそうです。

カルシウムは、私たちの骨や歯の大切な材料になることはもちろんですから、体の形成とおだやかな心の形成という、物心両面に欠かせないミネラルといえるでしょう。

ところが、栄養は十分すぎるほど足りているはずの日本人に、もっとも不足しているといわれるのが、このカルシウムなのです。カルシウム分が少ない火山灰でできた日本の土地で育った野菜はヨーロッパなどと比較してカルシウムが3分の1くらいしか含まれていないそうですから、そうしたことが原因しているのかもしれません。

カルシウムを多く含む食品には、牛乳、チーズ、小魚、海藻などがありますが、大豆食品にも豊富に含まれています。100g食べれば、もめん豆腐なら120mg、きぬごし豆腐や納豆なら90mgのカルシウムがとれます。

しかも、大豆によるカルシウム摂取は、たいへん吸収率がよいのです。カルシウムは吸収しにくい欠点がありますが、良質のたんぱく質と一緒にとると、吸収率がたいへんアップします。 ですから、大豆製品は、不足しがちなカルシウムの大切な補給源なのです。

納豆菌が作りだすビタミンKも骨粗鬆症を予防する
カルシウム不足で起こる高齢者の病気に、「骨粗鬆症」があります。カルシウム不足になると、骨のカルシウムが血液中のカルシウム維持に回されてしまうために、骨がもろくなってしまいます。結果として、腰痛や背中の痛み、腰が曲がる、あるいはちょっとしたことでも骨折するといった症状がでてきます。

骨粗鬆症はとくに閉経後の女性に多いので、閉経後の人や間近な人は、予防として1日に800~1000mgはカルシウムをとったほうがいいといわれます。もちろん治療にもたっぷりカルシウムをとることが大切です。

大豆の豊富なカルシウムは、骨粗鬆症も防いでくれるわけですが、もうひとつ最近になって、骨粗鬆症予防と納豆との関係もわかってきました。

私たちの骨は、鉄筋コンクリートにたとえればコンクリートであるカルシウムが、鉄筋に当たるたんぱく質と結合して、硬くてじょうぶな組織を作り上げています。このカルシウムとたんぱく質との結合に重要な役割を果たしているのがビタミンKです。ですから、カルシウムだけではなく、接着剤であるビタミンKがなくては、骨をじょうぶに建造することはできないことになります。

納豆菌はいろいろなビタミンを作りだすのですが、ビタミンKも豊富に生産します。ですか ら、カルシウムとビタミンKがともにとれる納豆は、骨粗鬆症予防の重要な鍵といえるのです。


3.納豆のナットウキナーゼは血栓予防の強い味方
「血栓予防の強力な新発見」といわれているのが、納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」という成分です。血栓を防ぐことで、心筋梗塞や脳梗塞を予防でき、さらにその結果起こるボケも防げるといわれ、テレビや新聞などで盛んに話題にされています。 このナットウキナーゼとはいったいどんなものなのでしょうか。

ナットウキナーゼは、大豆そのものや豆腐など他の加工食品には含まれていません。納豆菌が作りだす、あのネバネバの部分に、特別に生まれてくる物質なのです。

人工的に作った血栓(血が固まったもの) の上に納豆をのせ、体温と同じ37度に保って放置しておいたところ、血栓が溶けていくことを発見、この血栓溶解の働きをする酵素をナットウキナーゼと命名しました。

血栓を溶かす作用はひじょうに強力なものです。心筋梗塞の発作が起き、危険な状態になった患者さんには、ウロキナーゼという血栓溶解剤を大量に投与します。ごく単純に計算すればその効果と100gの納豆1パックの効果は、ほぼ同じぐらいだといわれます。

動物実験によって、ナットウキナーゼは胃や腸に入っても、死ぬことなく活動を続けることがわかっていますから、納豆を食べることで、血栓が予防できることが期待されているわけです。

ナットウキナーゼは血栓溶解作用を高める?
なぜナットウキナーゼが血栓を溶かしてくれるのかについては、まだよくわかっていません。 いまのところ、ナットウキナーゼ自体が血栓溶解作用を行うというよりも、私たちの体がもともと持っている血栓を溶かす働きを、高めることに関係しているのではないかと考えられています。

血液が凝固した血栓は、もともと体の防御作用のひとつとしてできるものです。指などを切って血管が傷ついた時、自然に血が固まって血が止まるのがいい例です。私たちには、出血多量に陥らないよう、血液を凝固させて体を守る働きがあるからです。

この防御作用が悪く働くと、動脈硬化で狭くなった心臓の動脈などに、血栓が付着して血管をふさぎ、その結果、心臓の筋肉が壊死することになります。これが心筋梗塞です。この場合も、動脈硬化を起こした部分が破けるなどの傷をおうために、血栓ができやすくなるのだとされます。

傷ついた血管は、血栓ができている間に修復されますが、修復が終われば、血栓を溶かしてもとに戻す作業が行われます。私たちの体には、何かあった場合には血液を凝固させ、その後、溶解させるという2つの働きがあるのです。 ですから、たとえ血栓ができたとしても、健康な人であれば、溶解作用ですみやかに溶けてしまいます。

ところが、血栓ができやすいタイプの人は、この溶解作用が低下していることがわかっています。血栓を溶かす働きをするのは、プラスミンという酵素ですが、この酵素が合成されるためには、血管壁の内側にある細胞から血液に放出される、合成を促す役目のある物質が必要です。血栓症の人はこの物質の放出が少ないことがわかっています。 ナットウキナーゼは、このプラスミンの合成を促進するような働きをしているのではないかと、推測されています。

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