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1.大豆の炭水化物は食物繊維が主役

大豆は、同じたんぱく質源として、栄養的な違いを肉類とよく比較されます。 肉類と大豆で大きく違う点に、肉類はコレステロールを多く含み、大豆にはまったく含まれないことがあげられますが、もうひとつ、食物繊維でもはっきりした違いがあります。

肉類には食物繊維が含まれないのに、大豆には食物識維がたいへん豊富なのです。 「食品成分表」に示されている「繊維」の量は、大豆(乾)100g中4.5gくらい。 一般的に、食物繊維が多いと思われている野菜も、実際にはそうたくさん含まれているわけではありません。

たとえば一見、食物繊維が多そうに見えるレタスは、100gにせいぜい0.5gくらい。そのほかの野菜も、その程度か多くても2g程度です。 この「繊維」は、「粗繊維」と呼ばれる炭水化物の一種ですが、「食物繊維」の範囲はさらに広く、「胃や腸で消化しにくいもの」を総称しています。

いま栄養学や食品学でいう食物繊維は体内で消化吸収されないわけですからいわゆる栄養素には入りませんが、従来から、便秘の解消や予防に効果があるといわれてきました。食物繊維は水分を吸収してふくらみながら排泄されるので、便が軟らかくなるのです。

ところが最近、食物繊維がにわかに話題になってきたのは、健康上すぐれた効果を発揮することがわかってきたからです。

たんに便通をよくするだけでなく、食物繊維は他の栄養素の吸収率をある程度抑える効果があるため、肥満の予防にもなります。 同様に脂肪の吸収も抑えますから、血液中のコレステロール値が上昇することを防ぎ、ひいては心臓病の予防にもつながります。

そのほか、血糖の上昇を抑制する働きがあるため、糖尿病の予防に効果がある、便通がよくなることで、発がん物質がすみやかに排泄され、大腸がんを予防するなど、さまざまな面で有効な成分だといわれています。

2.食物繊維が便秘を防ぎ、がん・糖尿病予防に役立つ

日本ではかつて、胃がんで死ぬ人がたいへん多かったのですが、予防法の啓蒙や集団検診の充実などもあって胃がんは比較的減り、かわって大腸がんが急増しています。

大腸がんが増えた原因は、日本人の食生活が欧米化したことにあるのは、まず間違いないといわれます。大豆食品はじめ、豆類、海藻類、野菜などをたっぷりとっていた日本の伝統的な食卓風景が変わり、食物繊維の摂取量は、ここ30年あまりで2割も減っています。

食物繊維が大腸がんを予防できるのは、たっぷり摂取していると、便通が整うからです。食物繊維は消化されないため、そのまま便となって排泄されてしまいます。食物繊維が多いと、便の量が多くなり、それが腸壁を刺激することで、腸の嬬動運動を促します。また胃や腸で水分を吸収するために便が軟らかくなることもあって、スムーズに排泄されていきます。

この便の中には、発がん物質などの有害物質も含まれています。最近では、食物繊維自身が、有害物質を吸着して外に運び出すのではないかとも考えられています。いずれにしても、有害物質を含む便が便秘で腸内に長くとどまっていると、大腸がんはじめ、盲腸炎、 ヘルニア、痔疾などのさまざまな病気の原因となります。便通がよく、すみやかに排泄されれば、有害物質による影響も少なくてすみ、これらの病気の予防に役立ちます。

3.肥満予防、コレステロール過多にも有効

食物繊維は、それ自体が消化吸収されにくいだけでなく、ほかの栄養分も吸収しにくくさせてしまいます。そのために、あまりとりすぎると、栄養の吸収を妨げるという影響もあるのです。

ただ飽食の時代といわれる昨今では、栄養過多による成人病が問題になっているわけですから、悪影響というより、かえってとりすぎに注意すべき栄養の吸収を抑え、成人病を予防することにつながることが期待されています。

吸収を抑制したい栄養素の代表がコレステロールなどの脂質でしょう。肉類中心の欧米型 食生活がもたらした健康上の影響で、もっとも大きいのがコレステロール過多になることです。

しかし、たとえ肉類をたくさん食べても、食物繊維をたっぷりとっていれば、脂質は吸収されにくくなり血液中のコレステロール値が高くなるのを防ぐことができます。 またカロリーの高い脂質の吸収を防ぐことで、肥満も予防できます。肥満は、高血圧、糖 尿病、心臓病などの成人病の大敵ですから、これらの予防にもつながっていくわけです。


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