目次

1.大豆について

世界のマメ科植物は600属22000種にもおよび、イネ科に次ぐ重要な植物で、その代表的なものが大豆です。 中国を中心とする東南アジアでは、大豆の加工・発酵技術が古くから伝えられ、伝統食品としヨーロッパ・アメリカなどの他の地域に見られない、大豆の独特の食習慣が存在しています。

特に、日本が世界一の長寿国であることからも明らかなように、大豆、米、魚を中心とした日本型食生活のよさは、各国の注目の的になっており、がん、心臓病など、栄養の過剰による問題に悩む欧米先進国だけでなく、食糧難である開発途上国の目標ともなっています。

大豆は「畑の肉」ともいわれるくらいの良質のたんぱく質と脂質に富み、しかもそのたんぱく質生産効率は多くの食品素材の中でも最も高いのです。現在54億人の世界の人口は、年間1億人ずつ増加し、数十年後には80億人にも達します。このことからも、大豆は近い将来の人口増加に伴う食糧難に対処できる最も重要な食糧資源であることが容易に察せられます。

さらに、疫学調査で大豆はがんなどの低リスク食品素材であることが明らかにされ、健康保持に関する食品の三次機能の研究も進んで、その価値がますます注目されるようになってきています。

血液中のコレステロールを減らしたり、血圧を下げたり、脂質の酸化を抑えたりという、その作用から、大豆が成人病や老化防止に役立つ多くの可能性をもった食品であると期待されているのです。

古くからマメ科植物と人類の文明との間には深い関係がありました。文明の発祥地として知られるチグリス・ユーフラテス河の周辺は、子実食糧としてのエンドウ、ヒラマメ、ヒヨコマメ、ソラマメとともに、多くの牧草マメ科植物の起源地であり、ナイル河流域はさらにササゲ、バンバラマメの、インダス河周辺はキマメ、中央アメリカ地域はインゲンマメ、ライビーン、ラッカセイのそれぞれの起源地です。

そして、モスビーン、ケツルアズキ、緑豆ハタササゲなどの中央アメリカ地域はインゲンマメ、ライビーン、ラッカセイのそれぞれの起源地です。そして、中国黄河周辺が大豆の起源地です。

しかし、文明が進み、裕福になるに従い、人々はこれらマメ類を食べなくなり、現在でも欧米先進国でのマメ類の摂取量はインドに比べると極めて少ない状況にあります。 従ってマメ類の中でも最も栄養的価値の高い大豆を、豆腐・納豆のような日常食品として摂取している食生活は、我が国の財産であると言っても過言ではないでしょう。


2.大豆は食糧危機から人類を救う

地球人口は現在54億人くらいですが、2050年には100億人を突破するだろうといわれています。今後予想される人類の食糧危機対策として、大豆の利用効率を高めることがひとつの 課題としてあげられています。

現在、牛肉や豚肉の大量の消費を賄うために大豆飼料による飼育が行われていますが、もともと大豆がもっていたエネルギーは、牛や豚が生きていくうえで消費していきますから、食肉になる時には、なんと4分の1から8分の1に減少してしまいます。大豆自体がせっかくりっぱな食糧なのにこれではたいへんもったいない話です。

世界で、いま、食糧が満ち足りているのは、日本や欧米などほんの一握りの先進国に限られています。アジアやアフリカの多くの国々では、億単位の人が飢餓に苦しみ、食糧を求めつづけているのが実状です。とすれば、数人分の食糧を犠牲にして牛肉ばかりを食べる食文化は人間的にはきわめて貧しいものといっても過言ではないでしょう。大豆をエサにして育つ牛ではなく、大豆そのものを食べれば、私たちは飢えに苦しむ数人の人と食糧を分かちあうことができます。

地球規模といったグローバルな食糧問題に用いる摂取エネルギーの換算方法に、私たちが直接摂取する食べ物だけでなく、牛や豚を育てる飼料など、間接的に取り入れている食糧のカロリーをすべて合わせた、オリジナルカロリーというものがあります。

この数値でいうと、牛肉が大好きなアメリカ人は1人1日1万キロカロリーもとっていることになり、もし世界の人がすべてアメリカ人と同様な食生活をすると、地球上には17億人しか住めないことになります。

それにたいし、豆類を中心とした食生活を送るインドでは、2500~3000キロカロリー程度。肉も豆も食べる日本人は約5000キロカロリーで、これがちょうど世界の平均値に当たり、この場合には、60億人までだいじょうぶだそうです。 いずれにしても、少なくとも肉類をなるべく減らし、その栄養分を直接大豆から効率よく賄っていこうとすることは、今後の食糧危機を乗りこえるための、大きな課題のひとつなのです。



3.大豆は食の主役につけるか

これほど栄養価の高い大豆が、これまで主菜になれなかった理由のひとつに、独特の不快臭やえぐみがあって、大量には食べられないという点があります。しかし最近では、えぐみの元が大豆サポニンであり、とくに胚軸に多く含まれることがわかってきたことで、それを除去することが可能になりました。この技術が一般化すれば、食の主役になれる可能性があるといえます。

大豆ハンバーグ、大豆アイスクリームなど、これまで動物性食品から作られていたものを、素材を大豆に置き換えた、大豆たんぱく製品がたくさん生まれ、また大豆チーズ、豆乳ヨーグルトなどの発酵食品も研究開発されています。 おいしくてバラエティに富んだ利用法のある大豆、そして私たちの健康を守ってくれ、食糧危機解決の一助ともなる大豆は、未来につながる、古くて新しい食品といえるのかもしれません。

大豆は世界を救う
大豆の生産地としての大きな可能性を秘めているのが、ブラジルである、と考えています。ブラジルに移り住んだ日本人たちは入植以来、荒れた土地を耕し、豊かな作物の実りを得てきました。その勤勉さと技術の高さは「緑の魔術師」と呼ばれるほどです。

しかし、ブラジルの移民も短命化したり、農業の後継者が減るなどして、広大な開発地帯を維持できなくなりつつあります。当然、大豆の生産も縮小されつつあります。これをなんとしてでもくいとめたい。それは、アメリカの大資本を中心とする勢力によって、遺伝子組み換え技術による大豆が出回るという、もう一つの危機を避けるためにも重要な課題です。

ブラジルには豊富で安価な電力があります。しかも、大量に生産されるサトウキビを燃料として利用して、さらに発電コストを下げることも可能です。実際、ブラジルではサトウキビからつくったアルコールを燃料として走っている車も多く、環境にやさしい資源として注目されます。大豆をパンなどにまぜ込むときなど、においを消すために細胞レベルまでバラバラにするには、かなりたくさんの電力を必要とします。

そこで、大豆の生産から、各食品に利用できるかたちにそれを加工するまでの一大ラインをこのブラジルの地に設けられないか、とさまざまにプロジェクトの計画は広がっています。この広大なラインが実現すれば、そのときこそ、「大豆は世界を救う」といえるのではないでしょうか。


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