目次

1.大豆ってどんな植物

大豆は、東アジア特産のマメ科の一年草で、現在、食用にされているのは、野生のツルマメを祖先にもつ栽培種です。茎は、高さ30~90cmになり、夏から秋にかけて、白や紫、淡紅色の蝶型の小さな花をつけます。

マメ科植物は、根に「根粒」と呼ばれるたくさんの粒がついていて、そこにいるバクテリアが空気中の窒素を取り込んで栄養源に変えています。大豆も、その根粒バクテリアの働きによって、空気中の窒素を利用し、私たちが食べる、たんぱく質に富んだ種子を作っているのです。


2.3大栄養素がバランスよく含まれた天然の健康食品
大豆には、たんぱく質、脂質、炭水化物という、体をつくるために非常に重要な役割を果たす3大栄養素が、バランスよくたっぷりと含まれています。まず、このバランスのよさが大豆の特徴の一つです。

さらに、皆さんもご存知のように大豆は「畑の肉」と呼ばれています。これは、大豆の約30%が植物性たんぱく質であることからきています。通常、植物性のたんぱく質は動物性のものより劣る場合が多いのですが、大豆のたんぱく質は、肉や魚と肩を並べるほど良質です。

たんぱく質の質のよさは、必須アミノ酸のバランスをめやすとして測られますが、その「アミノ酸スコア」が植物性のたんぱく質のなかではもっとも高いのです。たんぱく質が量的にもたっぷり含まれているし、質もよい。「畑の肉」といわれるほど栄養価の高い食品であるゆえんです。

日本人は、伝統的にこの「畑の肉」から良質のたんぱく質をとっていたことがいまの長寿に結びついているといえます。

脂肪についても、体、とくに血管にやさしい脂質が中心となっています。コレステロールはまったく含まれておらず、むしろ体内で悪玉のLDLコレステロールの増加を抑え、血液サラサラ効果の高いリノレン酸が豊富です。大豆レシチンというリン脂質も、血液中のコレステロールを低下させる働きがあります。

これに対し、動物性たんぱく質、とくに牛肉などの場合、脂身のまったくない赤身肉はアミノ酸スコアも100と高いのですが、脂身のある部分は69とガタンと落ちてしかも脂身はコレステロール動脈硬化の大敵です。

大豆には、3大栄養素のほかに、食物繊維、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、リン、ビタミンE、ビタミンB1、葉酸、そして、いまもっとも注目を浴びているイソフラボンなど、多種多様の栄養成分が含まれています。

アメリカの食品医薬品局では大豆食品について、血中コレステロール値の低下作用を表示することを認可しています。表示の基準によれば、1日あたり25gの大豆たんぱく質、1食あたり6.25gの大豆たんぱく質が有効であるとされています。

1食分とされた大豆たんぱく質6.25gというめやすは、豆腐だと3分の1丁(100g)、納豆であれば1パック(50g)、豆乳なら200mlでとることができます。 また、21世紀の国民の健康づくりの方向性を提言する厚生労働省では毎日100gの豆類を摂取することが目標として掲げられています。



3.バラエティに富んだ大豆食品
大豆のおもな生産地はアメリカ、ブラジル、中国などですが、これらの国ではほとんど大豆油を取るために栽培されています。油をしぼってしまった後の脱脂大豆は、肥料や飼料になるのがほとんどで、食用としてはごくわずかしか使用されません。

日本では、和食すなわち大豆文化といってもいいほど、大豆をじょうずに利用してきました。その加工技術はたいへんすぐれたもので、これが同じ大豆から作られたものかと驚かされるほど、多様な食品に姿をかえて、私たちの食卓を楽しませてくれます。

大豆もやし
…大豆を発芽させたもので、1週間ほどで出荷できるほどの大きさに生育します。大豆にはほとんど含まれないビタミンCが豊富に含まれているのが、大きな特徴です。反対に大豆のほかの栄養素はかなり低下するので、ほかの大豆食品と大豆もやしを組み合わせれば、栄養の点では理想的になります。

枝豆
…ビールのつまみに欠かせない枝豆は、まだ大豆として成熟する前のものです。大豆のもつ栄養素をほとんどそのままの形で摂取できますが、ビタミンAは大豆よりむしろ豊富ですから、たいへんすぐれた食品のひとつです。

きな粉
…大豆を煎って、そのまま製粉したものなので、栄養素的には大豆とほぼ同じです。ご飯や餅にまぶして食べるほか、お菓子の原料としても使われています。

豆乳
…大豆を水に浸してふくらませた後、粉砕して大豆のエキスを抽出、その後、繊維分を取り除いて作られます。これに凝固剤を加えて固めたのが豆腐です。 大豆自体は消化されにくいのが欠点ですが、豆乳は植物性たんぱく質源としてはもっとも消化吸収にすぐれています。ただ、熱を加えたりするので、熱に弱いビタミン類は多少低下します。 豆乳は健康食品として有名になりましたが、独特の青臭さが苦手だという人も多いようです。その場合には、牛乳と合わせて飲むと、飲みやすくなります。

ゆぱ
…牛乳を静かに加熱すると、表面に膜のようなものができ、これを取り除くと、また新たに膜ができます。これはたんぱく質と脂肪が固まったもので、豆乳でも同じようなものができます。これを「ゆば」といい、たんぱく質55%、脂肪25%を含む、栄養価の高い食品です。いまでは京都の伝統食品というイメージが強いのですが、かつては全国で日常的に食べられていました。

おから
…豆腐を作る過程で、大豆のエキスを抽出した後のもの。というと栄養はなくなっているように思えますが、大豆たんぱく質の20%は残っていますし、何より豆腐には失われている食物繊維が豊富に含まれています。これを野菜などと一緒に炒って「卯の花」として食べるのが一般的ですが、最近ではおからの豊富な食物繊維に注目し、クッキーやパンなどに入れることもあります。


大豆の発酵食品、しょうゆとみそ
日本の伝統的な大豆の加工食品で白眉といえるのが、発酵食品のしょうゆとみそです。 しょうゆは「ソイ(大豆)・ソース」として、日本だけでなく海外でも需要が急増しており、世界数十か国に輸出されているのはもちろん、海外に工場までできるようになりました。麹菌が大豆のたんぱく質を分解して作りだした、グルタミン酸などのアミノ酸が、そのうまみの主体です。

みそも同じように、大豆の発酵製品です。「手前みそ」ということばがあるように、かつては農家の自家製がほとんどだったため、地域性やその家独特の作り方があります。しかし麹を何で作るかによって米みそ、麦みそ、豆みそに分けることができ、現在製品として一番多いのは、このうちの米みそです。

調味料としての役割であるしょうゆと比べ、みそはたんぱく質源としての意味が強く、かつてみそ汁は、具の野菜や海藻、魚介類などの供給源であることも含めて、日本人の重要な副食でした。洋風の食事が多くなり、塩分が多いという問題などもあって、最近では需要が少なくなっているようですが、大豆のすぐれた栄養を考えると、見直してほしい食品です。

大豆油と大豆たんぱく製品
大豆から油をしぼることが行われたのは日本では比較的新しく明治も後半になってからの ことです。この大豆油は、なたね油などと調合され、天ぷら油やサラダ油として用いられています。そのほか、石けんやマーガリンの原料にも使われます。

ところで、脂肪をしぼり取った後の脱脂大豆は、大豆のたんぱく質の塊といってもいいでしょう。かつては家畜の飼料や肥料に用いられていましたが、せっかくの良質たんぱく質をもっと有効利用できないか、とアメリカで利用法の研究が始まり、日本では大豆たんぱく製品なるものが、20年ほど前から作られるようになりました。

大豆たんぱく製品とは、脱脂大豆のたんぱく質を、粉末状、ペースト状、粒状繊維状などに加工したものです。用途は加工食品で、大豆たんぱくを添加することで、栄養価を高めています。

現在大豆たんぱく製品が一番よく用いられているのは、ハムやソーセージ類です。そのほかかまぼこ、ちくわなどの水産ねり製品ハンバーグ、ぎょうざなどの冷凍食品、コロッケ しゅうまいなどの市販惣菜、パン、ドーナツ、即席めんなどに、広く用いられています。

最近では添加物としてだけではなく、大豆たんぱく製品そのものを加工しての、新しい食品づくりも行われています。見た目は鶏肉そっくりの唐揚げや、大豆たんぱくだけで作ったがんもどきや油揚げ、牛肉そっくりのものなどもあり、味覚的に遜色ないうえに、保存性のよさなども加わって好評を博しています。

今後も、大豆たんぱく製品による新しい食品が、次々に誕生していくと思われます。伝統的な大豆食品にこれらが加わり、大豆の食べ方もますますバラエティ豊かになりそうです。

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