目次

1.納豆の語源

納豆の語源についてもふれておきましょう。大豆を煮て納豆菌を殖やしてつくったものが「納豆」です。一方、水に浸した大豆を挽き砕き、その液を煮てから粕を去り、苦汁を加えて凝固させたのが「豆腐」であります。

納豆の方は稲藁の中で納豆菌という細菌(バクテリア)を繁殖させてつくるので、昔の人には腐ってしまったように見え、こちらの方に「豆腐」という名をつけた方が自然だと思うのですが、そうではありません。これはいったいどういうことかといいますと漢字の「腐」という字は「くさる」という意味だけではなく「ブヨブヨとしたもの」という意味もあるのです。そのため、豆が凝固したものでブヨブヨしたものであるから「豆腐」という名になったのであります。

最初は納豆という表現ではなく「糸引大豆」として出てきますが、「納豆」の二文字の初見は「精進物、春、堕辛納豆」とある『新猿楽記』であるといわれています。 「納」という意味は、『漢和大字典』や『大漢和辞典』をいくら調べてみても「おさめる」とか「いれる」などという意味しか載っていませんので、これはきっと煮た大豆を藁包に納めてつくること、さらにそのあとは(保温のために)室に納めて(発酵をうながして) つくることなどの作業工程を見て、要は「豆を納める」ことが納豆づくりなのだと昔の人たちは考え、この名がついたのでありましょう。なお「ナットウ」の「ナ」はおかずの「菜」、そして「トウ」は「豆」、つまり飯のおかずの「菜豆」がナットウになったという説もあることをつけ加えておきましょう。

2.大豆の95%は輸入

もっとも新しい数値では、国内の食品用大豆の消費量は年間約100万トンで、そのうち13万トンが納豆に使われています。その100万トンのうち約95%は輸入大豆に依存していますので、もっと国内産の大豆の栽培を進めるようになれば、さらに新たな展開もできるものと思うのです。また、納豆用大豆には大粒と小粒がありますが、とくに最近、人気の高い極小粒品種は大部分がアメリカやカナダからの輸入に頼っています。

これらの大豆は連作の障害や収量、病虫害の発生などで栽培がなかなか難しいということです。その辺りの課題も無理のない方法で解決されれば、ますます納豆ファンは多くなるのではないかと思う次第です。 さて、ただいま国内消費大豆の95%は輸入であると申し上げましたが、これを逆にみれば日本人の大豆自給率(供給熱量換算)はたったの5%しかないということになります。ところがこれは大豆ばかりでなく、日本の食糧自給率全体をみてみますとなんと政府発表で41%です。 この数値はじつに驚くべき数値で、このまままいりますと30%台は時間の問題。

30%を切るようなことになれば国家の存在意義が問われるほどの大問題となるでしょう。 そこで政府は「新農業基本法」の中で将来食糧自給率を45%まで、その先は50%まで回復させるといった計画を立てています。納豆の原料(大豆)をみんなでつくって、少しでもこの食糧自給率の上昇に貢献しようではありませんか。

ちなみに現在、主要各国の食糧自給率(エネルギー換算)をみてみますと、ドイツ97%、フランス129%、イギリス77%、アメリカ132%となっています。これらの各国は日本人の誰もが先進工業国だと思っておりますが、イギリス以外の国々は立派な農業国でもあるんですね。食糧を自ら生産できるからそれらの国は強いのです。


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