目次

1.豆腐はどんな料理にも合う万能食品

煮てよし、焼いてよし、蒸してよし、揚げてよし、調理法を限定しない万能食品である豆腐。淡泊な味のため、調理法のみならず、組み合わせる食材を選ぶ必要がありません。しかし、おいしく食べるためには、調理する前に多少の準備が必要です。

豆腐は豆乳をニガリで凝固させた食品で、その大部分は水でできています。豆腐屋が水にこだわるのはそのためですが、できた豆腐はたいてい水にさらしてあります。ニガリには特有の苦味があり、口に残ると大豆本来の味が薄れてしまうため、水にさらして苦味を抜き、豆腐の持ち味を引き出すためです。

豆腐には木綿豆腐、絹ごし豆腐、寄せ豆腐、焼き豆腐と多くの種類があります。中でも生で食べることの多い絹ごし豆腐や木綿豆腐をおいしく食べるポイントは、買ったらます流水にさらし、その後、たっぷりの水に漬けて食べる直前まで冷蔵庫においておくと、おいしく味わえます。

調理する際には、「水抜き」と「火加減」が豆腐料理のもっとも大事なポイントです。調理によく使われる木綿豆腐や焼き豆腐も、水にさらしてあるため、水切りをしなければ全体の味か水っぽくなってしまいます。

また、豆腐は冷水を好む食品であるため、火力が強すぎたり、火入れの時間が長すぎると「す」ができてしまい、豆腐本来の味を損ねてしまいます。

油揚げや厚揚げなどの揚げ物は、多量に油を吸収するため、市販ではコストなどの面から油の質があまりよくないといわれています。とくに油揚げはそのままだとしつこさが口に残るので、熱湯にくぐらせて油抜きをしてから使うようにしましょう。味もしみておいしく仕上がります。

また、おからは栄養価にすぐれていますが、大豆のえぐみが一番残っている食品です。そのため、使う前にから炒りをして水分に含まれるアクをとり除くなどの下処理か大切なのです。

豆腐は、同じタンパク質食品である魚や肉などには含まれない栄養をいくつも揃え持っています。また、さまざまな食品と組み合わせることにより、よりいっそう栄養効果が得られます。 肉、魚、野菜と素材を自由に組み合わせ、あらゆる調理法で豆腐料理のバリエーションを広げましょう。

2.煮る

煮るときは、火加減に注意しよう。 ニガリが再び働き、身が固く締ってすが立ってしまうので、強火にしたり、長時間煮たりしないのがコツです。

あんかけ豆腐
滑らかな舌触りと口の中で広がる大豆の風味は、温めた絹ごし豆腐ならではの味わいです。適当な大きさに切り分けた豆腐を湯の中で温めたら、ふきんで表面の水分をとり、湯で温めておいた器に盛っておきます。 だしに濃口醤油と味醂を加えて鍋で煮たたせ、水溶きくず粉または水溶き片栗粉でトロリとさせてあんを作ります。盛っておいた豆腐にあんをかけて溶きからしをのせます。豆腐は中まで弱火でしっかり温めておくことが大切です。

煮やっこ
だし、味醂、醤油で作った汁を鍋でひと煮立ちさせ、やや大きめのやっこに切った豆腐を入れて、甘辛の汁がしみ込むように5~6分ほどコトコトと煮込みます。 火加減は、豆腐を入れたら「弱火」にするのが基本です。煮込み時間は好みで多少長くなってもいいですが、あまり煮すぎるとすが立ってしまうので気をつけましょう。 盛りつけたら煮汁も少量入れ、小口切りのねぎと一昧唐辛子を散らします。

豆腐の味噌煮
木綿豆腐を食べやすい大きさに切り、水気を切る。赤味噌は酒と味醂でゆるくのばします。味噌は焦げやすいので、火加減には十分に注意し、火にかけたらこまめにかきまわすようにします。味噌はどの種類を使用してもいいですが、ものによって酒や味醂の量を調節しましょう。味噌ができたら、豆腐を加えて煮込みますが、あらかじめ味噌汁で軽く煮ておくと、味がなじみやすくなります。 できたら仕上げに粉山椒で風味をつけます。好みで、しょうが、わさび、溶きからしをのせてもいいです。アツアツに大根おろしもまた一興です。

茶豆腐ごま味噌和え
大きめのさいの目に切った木綿豆腐を、濃く煮出した番茶の中に入れ、弱火で煮込みます。豆腐が番茶色に染まり、身が締まって固くなったらざるにあげてよく水気を切ります。白ごまをすり鉢でよくすり、西京味噌を加えて混ぜ合わせたら、だしでのばして好みの濃度のごま味噌を作ります。 水切りした豆腐をごま味噌で和え、刻みねぎまたは三つ葉を散らします。

3.焼く・炒める

豆腐の伝統的な焼き物といえば田楽です。 上につける味噌に地方色が出ます。 炒め物は炒り豆腐など卵が入る料理が多いです。

祇園豆腐
塩湯でさっと茹でた木綿豆腐をざるにとり、適当な大きさに切って串をさします。表面はこんがりとしたきつね色に、裏面は温める程度に焼きつけます。味噌を作り、それを表面に塗って香ばしさが出るくらいまで焼きます。 八丁練り味噌は八丁味噌に卵黄、酒、砂糖を加えて火にかけ、練り上げます。西京味噌で作れば玉味噌、これにすりおろした木の芽を加えれば木の芽味噌になります。

豆腐田楽
軽く水切りをした木綿豆腐を長さ6cm、幅約2cm、厚さ1.5cmに切り、ふきんの上に広げて田楽串をさし、串の皮つきのほうを火に向けて表面の水分が乾く程度に焼きます。田楽味噌は、西京味噌に酒、味醂、少量の砂糖を入れ、火にかけながら木じゃくしで30分以上練り、トロリとツヤのある練り味噌を作ります。辛口が好みなら八丁味噌を使用してもよいでしょう。 水分が抜けた豆腐の面に田楽味噌を塗り、くるりとひっくり返して火に味噌の面を向けて再び焼きます。味噌の面にほんのり焼き目がつけばいいです。

炒り豆腐
固く水切りした木綿豆腐を鍋に入れ、木じゃくしで粗くくずしておきます。 小口切りのねぎや蓮根、せん切りのきくらげ、椎茸、にんじん、ささがきにしたごぼうなどを油で手早く炒め、豆腐を入れた鍋に入れて火にかけます。鍋をかき混ぜながら全体を炒りつけ、砂糖と醤油で味をつけて塩で仕上げの調節をします。炒りすぎるとパサパサになってしまうので注意します。溶き卵を加えるとコクのあるひと品になります。

卵犠製
ていねいにつぶした木綿豆腐をガーゼで包み、中にくちなしの実を包んで1時間以上おきます。豆腐が黄色に染まったら水気を切って裏ごしします。 豆腐1丁につき1個の割合でつなぎに卵白を加え、混ぜ合わせて塩と砂糖で味つけします。 型に入れ、一度蒸し器で蒸して固めてからフライパンに入れ、表面に薄く焼き色をつけます。冷めたら厚焼き卵のように切り分け、盛りつけます。 豆腐を厚焼き卵に見立てたヘルシー料理です。

4.する

すり豆腐を使った和えものは、洋風ソースよりも高タンパクで、低カロリー。 ごま、味噌、醤油、酢のどれかが加わるので栄養価も高くなる

醤油を加えた白酢和え
木綿豆腐をふきんに包んでまな板や石などをのせて、20分ほど水切りをします。水が切れたらすり鉢でよくすります。 ごまを別のすり鉢で十分にすり、豆腐と合わせて醤油と酢でトロリとするくらいまで混ぜてのばします。砂糖で甘昧を加えてもいいですが、魚、肉、野菜などと和えることを考えると、あまり甘昧はないほうがいいです。 鶏肉やさわらの塩蒸しなどをこの白酢で和えると美味しいです。きゅうりやうどなどの生野菜を加えてもいいです。食べる直前に和えるのがポイントです。

西京味噌を加えた白酢和え
揚げ麩を薄切りにします。きゅうりは薄く切って軽く塩もみをし、5分ほどおいて水気をしぼります。 ごまと西京味噌をすり鉢ですり、軽く水切りをした絹豆腐を加えて混ぜ合わせ、裏ごしします。裏ごしした豆腐味噌を酢で調節しながら好みの濃さにのばし、揚げ麩ときゅうりを入れて混ぜ合わせます。きゅうりや麩は、あらかじめ薄酢で洗ってから和えると味がなじみやすいです。

5.蒸す

豆腐の蒸し物は裏ごしと同形の2種類ありますが、裏ごしをしたものに野菜などの具を入れ、白身や卵白、やまいもなどをつなぎに加えることが多いです。

空也豆腐
深めの器に絹ごし豆腐と茶碗蒸しの種を注ぎ、ふたをして蒸気の上がった蒸し器の中に入れて15分くらい茶碗蒸しの要領で蒸します。 だしと醤油、味醂を合わせて火にかけ、ひと煮立ちしたら同量の水で溶いたくず粉をまわしかけて適当なとろみのついたあんにします。 豆腐が蒸し上がったらくずあんをかけ、上に松葉の形に切った柚子、おろしわさび、おろししょうがなどを添えましょう。

柚子釜蒸し
柚子の皮の表面を薄くそぐようにむきます。上から1/4ほどのところを横に切って中をくり抜き、ふたと釜を作ります。これを水から茹でて、1~2日水でさらし、苦味がとれたら醤油と酒を加えた汁で下昧をつけます。椎茸を薄口で煮て薄切りにし、ひと塩ふった白身魚を食べやすい大きさに切ります。 木綿豆腐を水切りして裏ごしし、椎茸、白身魚をあわせて柚子釜に詰め、ふた付きの蒸し器で蒸ます。 やや濃い目のくずあんをかけておろししょうがをのせ、三つ葉を散らします。

つと豆腐
木綿豆腐を水切りして裏ごしし、すりごまと豆腐1/3をおろしつくねいもと混ぜ合わせ、醤油で味をつけます。 ささがきにしたごぼうと、せん切りにしたにんじんを薄味で煮て、小口切りにしたきくらげ、ぎんなんとゆり根を豆腐に混ぜ合わせ、わらづとで巻き、わらでくくって1時間ほど蒸し器で蒸します。つとをはずし、適当な大きさに切って小麦粉をふり、油で揚げて熱湯をかけ、油抜きをしてから醤油と砂糖を入れただしで煮含めます。

南禅寺蒸し
水切りした木綿豆腐を裏ごしし、倍量のおろしつくねいもと混ぜ合わせて薄味をつけます。 合わせ豆腐の半量分の卵白を泡立てて豆腐と混ぜ合わせます。これを器の半分くらいまで入れ、上に蒲焼きにした鰻をのせて蒸します。 薄口で炊いたぎんなん、ゆり根、三つ葉、にんじんをのせて吸い汁を張り、木の芽を添えます。

6.揚げる

豆腐と油は相性の合う組み合わせです。 一般的には木綿豆腐を使うことが多く、小麦粉、片栗粉、くず粉などをふって揚げたり、素揚げにしたりします。

揚げ豆腐
ふきんに包んで、水気を切った木綿豆腐を一口大に切り、強火で150~160℃の温度に熱した油できつね色になるまで揚げたら、熱湯をかけて油抜きをします。豆腐は水を切りすぎると味わいを損ねてしまいますが、水切れが悪いと油はねを起こしてやけどをしてしまうので、そのあんばいに注意しましょう。 温めたたっぷりのだしに油抜きした豆腐を入れて十分に煮込み、醤油と砂糖で味つけをし、盛りつけたら飾りに青柚子を添えます。

揚げだし豆腐
木綿豆腐を軽く水切りし、1丁を8等分くらいに切って小麦粉をふり、高温の油で力ラリと揚げ、パットで油を切り、器に盛りつけます。油はサラダ油とごま油を混ぜるとコクが出ます。 天つゆはだしに味醂、醤油を加えて煮立たせて作ります。大根おろしが甘味を抑えることを考慮して、醤油や味醂の分量を調節するといいです。 おろししょうがやかつお節をのせると風味がより豊かになります。

精進うなぎ豆腐
水切りした木綿豆腐を裏ごしし、鰻を腹聞きにしたような形を作り、裏に海苔を張りつけます。海苔が鰻の皮の代わりになります。豆腐に少量の卵白を加えると形が作りやすくなります。 海苔を下にして150~160℃の油で手早く揚げ、油を切って田楽味噌を塗り、食べやすい大きさにして盛りつけます。 田楽味噌は西京味噌と赤味噌を練り合わせ、酒、砂糖、卵黄を加えて火にかけ、練り上げて作ります。

南禅寺揚げ
木綿豆腐をふきんで包んで軽く水切りし、丸く抜いてくず粉をふり、油で揚げます。油が切れたらサッと湯通しして油抜きをします。 だしに醤油、砂糖、酒を加え、追いかつおをした汁に入れて煮含めます。 椎茸、にんじん、栗、きくらげをせん切りにし、薄味で煮て野菜のけんちんを作り、盛りつけた豆腐の上にのせてくずあんをかけ、仕上げにあられのように細かく切ったしょうがをのせて完成です。


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